その年曹植は念願の高校に入学した。
今は大学に上がって仕舞ったが
尊敬する兄が通っていた高校だ。
懸命に勉強して、兄と同じ学校に入った。
卒業するまで一貫して首席で通した兄は
曹植に取って何よりも誇りであったし、
こうして兄の過ごしたであろう学校に
通えることは一番の喜びであった。

簡単な自己紹介を終え、
クラスの級友と話始める。
皆受験が去って勉強こそ大変であろうが、
(何せ屈指の進学校だ)
これから始まる学校生活に胸躍らせている。
「なあ、知ってるか?」
前の席の男子が聲をかけてくるので、
曹植が耳を傾ける。
「この学校、都市伝説があるらしいぜ」
「へえ、どんな?」
都市伝説とはまた凄い、トイレのなんたらさんが
というノリだろうか、と曹植が先を促した。
「すっげー昔、この学校に茶髪とロン毛の二人組が居て、
もうめちゃくちゃ強くて、あ、どっかの組の幹部の息子
らしいんだけど、一年の時には辺りの不良グループ全部
潰して、族潰しの伝説つくって、二年の時には
あたりの組を潰して、都内の組全部吸収して
三年の時にはもう此処らのドンよ、奴等に睨まれたら
政治家もヤクザも裸足で逃げ出すらしいぜ!
すっげーよな!」

曹植は笑みを引き攣らせた。
途中から薄々わかっていた。
所々誇張されているが、
間違いない・・・
青褪めながら漸く言葉を絞り出した。



「それ・・・ウチの兄貴・・・」



外伝:
嘘みたいな本当の話


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