ゴールデンウィークも過ぎたあたりから三成もクラスに馴染みだした。
元来人に嫌われる容姿では無いし、今迄にそれなりの人間関係も
築いてきた。クラスメイトも三成が噂されるほど怖い人間では
無いとわかると気さくに話しかけてくる。

此処でクラス編成の話をしよう。
三成は1−Bである、反して曹丕は1−A、
この違いは進学校故の、成績順別けである。
勿論成績で別れるなら学年次席の三成はA組に所属するのが
普通である。B組はそれなりに普通の成績の面子ばかりが
集められる、B、Cと進めば進むほど順位は下がる仕組みだ。
実力主義といえば簡単である。
そのような内訳であるから、三成がA組に所属せず、
B組になっているにはそれなりの理由がある。
稼業の問題で、敵対組織の跡取りである曹丕と養子とは云え
実質嫡男の扱いである三成に配慮してである。
同じクラスにするのは不味いと判断されたのだ。
大人の事情である。
しかしこの配置に理不尽なものを感じずにはいられない。
三年間無難に過ごす為とは云え素直に納得は出来なかった。

しかもそれなりに慣れてきたクラスメイトは最初の
実力テストの結果が分かるや否や、三成の所為で
クラスの平均点があがると仲の良い級友が冗談めいた
批難を投げてきた。
三成が居る所為でクラスの平均点が上がって仕舞い、
通常なら平均点で安心できるものが、平均点以下に
成って仕舞うのだ。
故に級友達はにやりと意地の悪い笑みを浮かべたかと思うと、
中間テストの時には、クラスメイトの殆どから遊びに誘われ、
結局多人数でカラオケ大会になり、三成の平均点を下げることには
成功したが、結局一緒に遊んだクラスメイトの点数も下がることに
なるので、散々な結果になった。
事の次第を中間後に聴いた三成は呆れたものだ。
そして期末で挽回すべく、放課後クラス全員で残って
勉強会となる。
三成はハリセンを手に指導することとなった。
美しい級友愛である。

「では、32頁開け!」


02:夏休み目前

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