部屋のドアを開ければ、女の高いヒールがあった。
仕舞った、来ていたか、と三成は子桓に少し、外廊下の奥で
煙草でも吸っていろ、とライターと煙草を投げる。
そして中に居るだろう女の姿を捜した。
顔が割れるとまずいという子桓のことを
放っておくわけにもいかない。
思えば昨日コンビニで出会った時からそういう業を
背負ったのだと半ば己に言い聞かせながら、
女に断りをいれた。
暫く此処へ来るな、と云えば、気の強い女のことだ、
( わりと業界に強い女だったので尚のこと子桓と会わす
訳にはいかなかった )
矢張り口論になり、結局別れることになる。
しかし眼の前にはどうにも放っておけない、そのうえ
大金を稼げそうな金の卵ならず絶世の美男だ。
仕方あるまい、と云い聞かせるもどうにも理不尽なものを感じる。

女を外へ追いやって、
外廊下の子桓を呼んで部屋へ上げ、ネクタイを外す。
「全く、お前の所為で・・・」
三成の頬は少し紅い、勿論女にぶたれたのだ。
子桓は鈍そうな癖にこういったことには敏いのかにやりと哂った。
「女日照りか」
「誰の所為だ」
当分子桓を匿うと決めたのだから家での女はお預けだろう。
外でとなるともういっそ風俗に行った方が手っとり早い。
冷蔵庫からビールを取り出し、一気に呷った。
その様子を見て、子桓は暫し考え込む仕草をしてから口を開いた。
「ならば、私が相手してやろう」

「・・・は?」


03:構わないと
君が云うので



「それとも男相手では勃たぬか」
挑戦的な眼に流されそうになる。
「いやに慣れているな」
子桓は確かに美人だ。
男であるとはっきりわかる、女顔では無い、
しかし、見た目だけで云うなら相当に綺麗な男だった。
否、訂正しよう、
三成が今まで生きてきた人生の中で一番と云ってもいいほど、
綺麗な男だった。
それでうっすら三成は邪推な想像をする。
( ・・・もしや )
子桓はどこぞの愛人ではなかろうか、
これほど見目が良ければ男でも愛人にしたがる輩はいくらでも居る。
だからこうもあっさり三成を誘うのでは無いか?
そう思うと色んなことが納得できる気がする。
ならば一度食ってみるのも一興か、と三成は子桓の身体に
手を伸ばした。

「・・・っ」
腰が少し浮いたのでその隙を突いて
手を腰に固定する。
( 成る程・・・ )
確かに慣れている様子だ。
三成のものを行き成り口に含んで愛撫したかと思えば、
導くように三成を誘導する。
軽く指を慣らしただけで溶けた中に己を宛がえば、
いよいよ持って行かれる気がして、眩暈がした。
( なんだ、こいつ・・・ )
これはまずいと三成がうっすら脳裏の端に思う。
何せ具合が良い、
こんなに良いなんて思わなかった。
男の経験は無いが、こんなに良いものなのか?と
我が目を疑う。しかし本当に男皆こんなだったら世の中男色だらけだろう。
だから子桓が好いのだ。
は、と洩れる息は何とも淫らで、誘われる。
熱くうねる中は三成を根こそぎ絞り採るようで、
奥へと誘う。
欲望が弾ける気がして、三成は乾いた己の口端を舐めた。
これなら何度でも達けそうだ。
快楽のままに激しく己を打ちつけ、
その度、子桓が、ああ、と堪らなく扇情的な聲を上げた。
( これは・・・嵌りそうだ・・・ )
「んん・・・っ!!」
洩れる悲鳴は耳に好い、
女とは全く別の、否、それ以上の快楽だ。
もしかしたら相性がいいのだろうか、
そう思いながら存分に感じる様子の子桓に
溺れるように三成は二度、三度と貪った。

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